デュボワのパブリックエデュケーション活動

『歯科』からはじまる『医科』 --進化論に基づく医療理念--

2014年2月26日

--生き残りをかけた細菌同士の共生--

 光合成で酸素を作り続けるストロマトライトの誕生により、地球に酸素が増え続けました。現在の生命にとって酸素がないと生きられませんが、実際は生物にとって酸素は細胞を傷つけるとても危険な存在なのです。アンチエイジングにおいて"活性酸素"があらゆる病気の原因になっていたり、老化をいたずらに促進していたりすることが明らかになってきましたが、酸素を嫌う嫌気性菌は、酸素があると生きていられません。 当時の古細菌も、遺伝情報を持つDNAが納められている核を持たない原核生物であり、ほとんどの原核生物は酸素が存在すると生きていけません。ところが、その中に酸素を利用してエネルギーを作り出す原核生物がいて、別の原核生物がそれを取り込んでしまいました。それが細胞のエネルギーを作り出すミトコンドリアです。 こうして、21億年前に動物や植物の共通の祖先となる核やミトコンドリアなどの小器官を持った真核生物が誕生しました。雄雌の区別もこの頃に獲得したと考えられています。 ミトコンドリアは私たちが生きるために必要なエネルギーを作ってくれる反面、命をも危険にさらす"活性酸素"をも大量に発生させてしまいます。ミトコンドリアは私たちの生活に必要な電力を効率よく作ってくれる反面、コントロールを失うと放射能の危険にさらされる"原子力発電所"に似ています。医学と物理学を持って両者をそれぞれ如何にコントロールできるかが決めてです。 近年の水素水などの水素分子を用いた"水素医学"は、このミトコンドリアの働きを活性化し、悪玉活性酸素であるヒドロキシラジカルだけを選択的に取り除いてくれることで注目を集めているのです。また、LLLT(低出力レーザー)などもミトコンドリアを増やす作用により様々な治療に応用されているのです。 このように、この活性酸素をうまくコントロールできなければ様々な病気の原因を作ってしまい、老化を促進してしまいます。"抗酸化"がアンチエイジング医療や健康増進の要の一つになっている理由が"進化の過程"からご理解いただけると思います。

-口は生命の始まり-

 真核生物誕生から10億年ののち、つまり今から10億年前にはいくつかの細胞同士が合体して一つの生命体を構成する多細胞生物が発現しました。そして、5億4300万年前にカンブリア大爆発といわれるように、生命が爆発的に進化し、現在の動物の分類の基本的なくくりもこの頃に出来上がりました。 私たち脊椎動物の祖先は、東北地方でよくとれる海産物の"ホヤ"だと考えられています。定着して生きる"ホヤ"にある原口(げんこう)と呼ばれる最初の口は一つで、栄養の摂取も排泄も、そして生殖もすべて一つの口で賄われていました。 やがて食物を効率的に摂取するために移動できる動物に進化しはじめて、一つだった原口は口と肛門に分かれ、内蔵は腸が中心の構造として進化が進みました。同時にほとんどの動物の生殖器は肛門側に位置するようになり、生命は"食"と"性"によって継承されていく仕組みが出来上がっていきます。 移動のために鰭(ひれ)や手足やいろいろな器官ができながら生物が大型化するようになるにつれ、栄養を運ぶ循環経路にもポンプが必要になると心臓が出来上がります。さらにあらゆる臓器や器官を制御するために通信網である神経がはり巡らされて、やがて集中制御室の役割を担う脳が登場してきます。口の触覚で食べ物を捉えていたのが、さらに外界をより明確に把握するために、目や耳などの感覚器官がどんどん発達していきます。目の白目は脳硬膜の突出部位にあたるのです。つまり、進化の過程では、目は脳よりあとに脳の出先機関として出来上がってきたのです。 このように、からだの器官を進化論的に振り返っていくと、私たちのからだの何よりも先に"口"が存在していたことがおわかりいただけると思います。

--サメの解剖をすればヒトの心の生い立ちがわかる--

4億年前になると魚の時代がやってきます。サメなどの軟骨魚類が出現してきた時期です。現在のサメの鰓(えら)は他の魚類と違って5対の鰓があります。この5対の鰓を構成する筋肉が、私たち人類の咀嚼、顔の表情、嚥下、発声、食道の蠕動運動をそれ掌る筋肉にそれぞれ進化しているのです。このように顔の表情も発声も内蔵感覚に由来していることから、「内蔵の感受性」が「言葉の形成」に深く関わっていることも進化の過程を垣間見ることで明らかになってまいります。表情に表れる心や言葉や歌声で表現される心を生み出す内蔵感覚は心の故郷でもあることを進化論は語っているのです。 八つ目ウナギは8対以上の鰓を持ち合わせていますが、同じくサメに移行する前の魚の祖先と考えられています。

三木原図(『生命形態学序説』・体節と鰓節のメタモルフォーゼ)

画像引用 生命形態学序説-根原現象とメタモルフォーゼ(著 三木成夫 うふすな書院)


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